ドライアイ

涙の減少や質の変化によって、眼の表面を潤す力が低下した状態をドライアイと言います。

ドライアイについて

ドライアイ(乾燥性角結膜炎)とは

ドライアイとは、眼の表面を覆ってゴミなどを洗い流したり、栄養を補給するなど眼を守るような働きをしている涙が少なくなったり、涙の成分バランスが崩れることで結膜や角膜の上皮が傷み、目が乾いてしまう病気のことをさします。

涙の主なはたらき

涙の働きにはさまざまなものがあります
  • 目の表面を外界から守り、乾燥を防ぐ
  • 角膜に酸素や栄養を届ける
  • 眼が鮮明な像を結べるように角膜表面を滑らかに保つ
  • バイ菌などの侵入や感染を防ぐ
  • ゴミやホコリを洗い流す

ドライアイは患者数の多い病気で、日本全国に約800万人いるとされています。加齢とともに涙液の分泌量が減少する為、高齢者の約74%がドライアイと言われています。
症状としては、

  1. 眼が疲れやすい
  2. 眼の不快感
  3. 物が霞んで見える
  4. 目やにがでる
  5. 理由もなく涙がでる
  6. 眼の痒み

などです。

ドライアイの原因

  1. 涙の量の減少、成分の変化(病気・不規則な生活・加齢などによるもの)
  2. 瞬きが少ない(パソコンやテレビゲーム、携帯電話などを使う作業、読書などによるもの)
  3. 涙が蒸発しやすい(乾燥した空気、空調の風が直接当たる、眼がもともと大きい人)
  4. コンタクトレンズの装用
  5. 理由もなく涙がでる
  6. 紫外線による影響

ドライアイの分類

ドライアイは、涙液減少型と蒸発亢進型に大きく分けられます。

涙液減少型ドライアイ
シェ―グレン症候群によるもの。
※シェ―グレン症候群とは、涙腺や唾液腺などの分泌腺がリンパ球によって破壊されることにより、涙液や唾液の分泌が低下し、ドライアイやドライマウスを発症するものです。
蒸発亢進型ドライアイ
パソコンや携帯電話などの使用、読書など集中して物を見ることにより、瞬きの間隔が延長することで起こる乾き症状のことです。
また、コンタクトレンズの装用も原因の一つです。
ドライアイの種類

ドライアイの診断

シルマー試験と呼ばれる検査で涙がどれくらい不足しているかを調べることができます。細い濾紙を下まぶたに挟み、約5分後に濾紙が濡れた部分の長さで診断します。
シルマー試験に似た検査で、濾紙ではなく糸を使う錦糸法もあります。

その他にもフルオレセイン色素で目を染め、乾き具合や傷がないかを見る方法もあります。右の画像はフルオレセイン色素を使用した状態の目です。
乾きや傷があるとその部分が黄色く染まります。

ドライアイになると、涙の量が減ったり、蒸発しやすくなったりする為、眼に入ってきた細菌や花粉などの異物をすぐに洗い流すことができず、そのまま眼の表面に長い間留まらせてしまうことで感染症やアレルギーなどの炎症が起こりやすくなります。

瞬きをせず、10秒間眼を開けていられない方はドライアイの可能性があります。
ご自身でできる簡単なチェック方法なので、1度試してみて下さい。

ドライアイの治療

ドライアイの治療の基本は点眼です。「ヒアルロン酸」が配合されている点眼薬は、ドライアイの治療に効果的です。ヒアルロン酸には粘りがあり、水分を保つ効果があるため、単に水分を補うだけではなく、涙や点眼薬を長く眼の表面に保持します。更に、ヒアルロン酸には目の表面の傷を修復する効果もあります。
また、水分量を補う目的で「人工涙液」が使われる場合もあります。人工涙液はコンタクトレンズの上からでも点眼できる目薬です。

ヒアレイン点眼液
1日4~6回点眼。水分を保持させることで、表面にできた傷を改善させる。
ソフトサンティア点眼液
1日5~6回点眼。涙の成分に近い人工涙液で、水分を補い、乾燥感を改善させる。
防腐剤が入っていない為コンタクトレンズの上からも点眼可能ですが、1回の使い切り使用になります。

近年では、“ムチン”という涙の安定性を増す粘液成分の分泌を促進する点眼液も開発されており、ドライアイ治療により効果を発揮しています。
涙は水(ムチン層)と膜型ムチンで油膜を挟む形で構成されており、その中でも膜型ムチンは涙が眼の表面に留まるよう糊付けする役割を果たしています。以下のものは、ムチンや水分の分泌を促進する効果が多くみられる点眼液になります。

ジクアス点眼液
1日4~6回点眼。ムチン等、涙成分の分泌を促進する効果がある。
ムコスタ点眼液
1日4回点眼。ジクアス点眼薬同様、ムチンや涙の成分分泌を促進せる効果がある。混濁液の為、一時的に眼が白くなったり霞んだりすることがあります。また、1回使い切り使用の点眼薬になります。

※これらの点眼液をご希望の際は、医師とよくご相談下さい。

点眼薬だけで改善しない場合には、涙の出口を塞ぎ、涙を眼に留まらせる「涙点プラグ」という眼科器具を使用した治療法や、ドライアイ保護用眼鏡を装用し、眼球表面の涙液蒸発を抑制する治療法もあります。

ドライアイの対策

  1. パソコン作業をする時はこまめな休憩をとりながら行う。
  2. パソコン使用時は画面を目線よりも下にする。まぶたを開く面積を少なくすることで、眼の表面の乾燥を防ぐ。
  3. 瞬きをするように意識する。
  4. エアコンの風が直接当たらないようにする。
  5. コンタクト装用時はコンタクトレンズ用の目薬を点眼したり、長時間の装用は控える。
  6. 充分な睡眠をとる。