斜視

片方の眼が見ようとする目標を見ているにも関わらず、もう片方の眼が目標と違う方向を向いている状態になることがあります。これを斜視といいます。

斜視について

斜視とは

物を見る時には、右眼も左眼も両方の眼が見ようとする目標の方向へ向いています。ところが、片方の眼が見ようとする目標を見ているにも関わらず、もう片方の眼が目標と違う方向を向いている状態になることがあります。これを斜視といいます。

斜視とは、目の視線の向きの異常です。また、斜視はほかにも異常をきたします。人間には目が2つありますが、普段は目が2つあるとは意識しておらず、まるで1つのもののように働いています。これは、両目で見たものを脳でまとめ、1つの新しい感覚として捉えているからであり、この働きを両眼視といいます。

斜視があると、この両眼視ができず立体感を感じなくなったり、物が二重に見えたりするような両眼視の異常も引き起こすのです。また、斜視があると両眼視ができなくなり、その結果、斜視のあるほうの目の視力が悪くなることがあります。これを弱視といいます。

このように、斜視は眼位の異常、両眼視の異常、それに弱視という視力の異常にも関与している病気です。

斜視の原因

斜視は原因不明のものが数多くありますが、ここでは現在分かっている主な原因をあげていきます。

1.眼の筋肉や神経などの異常

眼を動かす筋肉や神経にわずかの異常があると、眼の位置がずれてしまい、両眼が一緒に正しくものを見ることができず、斜視になります。

2.遠視

眼は見る時にそのものにピント合わせを行います。近くを見る時は、眼は内側によります。
遠視では強くピント合わせを行わないとはっきり見えない為、眼はかなり内側に寄ってしまい、斜視になる場合があります。(内斜視)

3.両眼視の異常

遺伝や脳の一部のわずかな異常が原因で両眼視がうまくできない場合、それぞれの眼がばらばらな方向を見るようになり、斜視になります。

4.視力不良

病気や怪我で片方の眼の視力が悪くなると、両眼視が出来ず、視力の悪い眼が斜視になる場合があります。大体の場合、その眼は外側を向きます。(外斜視)

目の位置による斜視の種類

斜視は視線が寄る方向によって種類が分類されます。
片方の目が内側に寄る内斜視、外側に寄る外斜視、上下いずれかに寄る上下斜視などがあります。
また、常に斜視の状態にあるものを恒常性斜視といい、時々斜視になるものを間歇性斜視といいます。

斜視の種類

内斜視のおもな疾患 ~調節性内斜視~

通常、遠視で起こる内斜視です(上記の原因2.遠視の疾患です)。
一般に物を見る時には、近見反応で調節と輻湊(近くの物を見るときに、近くに焦点が合うような視線に眼の筋肉を内側に寄せる働きのこと)とが同じ量だけ起こりますが、遠視ではその度に相当するだけの調節を余分にしなくてはなりません。

そのため、ある程度以上の強い遠視があると、余分な調節に伴って余分な輻湊も起こるため、内斜視になってしまうのです。
調節性内斜視はだいたい物がしっかり見えるような1歳前後で発症し、特に1~3歳で多く見られます。
治療方法は遠用眼鏡を装用することです。

外斜視の主な疾患 ~間歇性外斜視~

間歇性外斜視とは、眼が外側にずれている時とそうでない時とがあるもので、外斜視の大部分を占めています。子供では明るいところで片目を瞑るような仕草をすることもあります。

他に病気がなければ視力の発達には影響は少なく、弱視になる心配はありません。しかし、眼のずれ以外に自覚症状として眼精疲労や複視(物が二重に見える症状)があります。
間歇性外斜視は自然に治ることはないため、眼がずれている頻度が増え、外斜視が目立つようになったら治療のために手術を考えます。

手術は全ての症例に行うもではなく、手術の目的は外斜視を目立たなくすることによる外見と眼精疲労の改善です。

上下斜視

視線が上下いずれかに寄る斜視のことを、上斜視または下斜視と言います。
左眼で一点を見ているときに右眼が上斜視になる場合では、右眼で一点を見ているときに左眼が下斜視となるので、右眼上斜視と左眼下斜視とは同じ意味合いになります。(右眼下斜視と左眼上斜視も同様です。)
一般的には、下斜視は使わず、上斜視と呼ぶことが多いです。

上斜視が起こる原因の中で最も多いものは上斜筋麻痺によるもので、上斜視となったほうの目と反対側に頭を傾けて物を1つに見ようとします。
また、眼窩壁骨折などで筋肉が固定されて動かなくなったことにより、上下斜視を起こすこともあります。治療は、起こった原因により異なりますが、外傷による眼窩壁骨折の場合を除き、斜視が固定したあとに手術で矯正することが多くあります。 また、複視がある場合にはプリズム眼鏡で矯正する場合もあります。

偽斜視

偽斜視とは、本当は斜視ではないのに、見かけが斜視のようなものを言います。

あかちゃんは鼻が低くて、その根元が充分に発達していない為、両方の眼の間が広くなっており白目の内側が見えない場合があります。偽斜視は鼻の根元が成長するに従って、内斜視のように見えていたものが、正常に見えるようになります。この場合小鼻をつまんで確認する事で本当の斜視と区別できます。

小児の斜視は放置すれば自然に治ると言われているのは、偽内斜視を指していると考えられます。

あかちゃんの偽斜視

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弱視