弱視

乳幼児期の視力の発達が妨げられることによりもたらされる、片眼または両眼の視力低下で、眼鏡でいくらピントを合わせても視力が出ない状態を弱視といいます。

弱視について

弱視とは

弱視とは、乳幼児期の視力の発達が妨げられることによりもたらされる、片眼または両眼の視力低下で、眼鏡でいくらピントを合わせても視力が出ない状態をいいます。
つまり裸眼視力が0.1であっても、矯正すると1.0視力が出る場合は弱視ではありません。

単に視力が弱いわけではなく、色の区別がつきにくかったり、視野が狭かったり暗い場所で見えづらくなる症状を伴う場合もあるため、見え方や不便さの度合いは個人差があります。

人間の視力の発達は、早くて7歳頃、遅くて9歳頃までに止まってしまうため、弱視の疑いのある子どもの場合はできるだけ早く治療するのが望ましいとされています。

弱視の種類と原因

形態覚遮断(視性刺激遮断)弱視

乳幼児期の眼瞼下垂・先天性白内障などの病気や、長い間眼帯などで眼を塞がれたり、真っ暗闇で生活し、物を見ることがない状況などのために、網膜に像が届かず、適切な視性刺激が与えられなかったことで起きます。
新生児の場合、これらの要因があると数日間で弱視化してしまうので、注意が必要です。

斜視弱視

斜視の影響で、斜視眼を使わずにもう片方の眼で物を見ようとすることで視力低下が生じ、弱視が起きます。

微小斜視弱視

ごく小さな角度の斜視に伴う微小斜視により起きます。
不同視を伴っている場合が多く、不同視弱視と斜視弱視の中間に位置します。

不同視弱視

片眼が強度の近視や遠視、または乱視の影響で左右の視力に差があると、屈折異常の軽い方の眼だけを使い、屈折異常が重い方の眼を使わなくなるため、不同視弱視が生じます。

屈折異常性弱視

両眼性の弱視で、強度な遠視や乱視がある場合、適切な屈折矯正を行わないと明瞭な視覚刺激が少ないために屈折異常性弱視が起きます。
近視の場合は近くにピントが合うため、病的な近視でない限り、弱視になるのは稀です。

検査・治療

弱視の治療法には以下のようなものがあります。

屈折異常の矯正

不同視弱視・屈折異常性弱視に有効

小さなお子様でも、正確な屈折検査を行い、眼鏡あるいはコンタクトレンズによる屈折異常の矯正を行います。適切な屈折の矯正が行われていれば、良好に視力発達が見られます。

眼鏡やコンタクトを作る時、お子様は頑張って物を見ようとして調節力(ピント合わせ)が働くことで正確な度数が分からないため、調節麻痺作用のある目薬を使って検査を行います。
眼鏡をかければすぐ治るということではなく、治療には時間がかかり、気長に根気よく続ける必要があります。

遮閉法(アイパッチ)

遮閉法(アイパッチ)

斜視弱視・不同視弱視に有効

視力が良い方の眼を一定時間遮閉(しゃへい)し、弱視の眼に度数の合った眼鏡をかけ、強制的に弱視の眼を使わせます。
感受性の高い時期に治療を始めれば効果が大きくなります。

ほかにも、斜視や弱視の場合は、遮閉法の訓練と斜視手術を組み合わせて行うこともあります。
また、先天白内障・眼瞼下垂などによる形態覚遮断弱視は、弱視を起こす原因になっている病気をなるべく早く手術することが、治療の先決になります。

このように弱視の原因によってそれぞれ治療法が異なります。

症状 -こんな様子に要注意-

  • 物を見る時に斜めから見たり、顎をあげて見ている。
  • テレビ画面に顔をくっつけるようにして見たり、画面から離すと嫌がる。
  • 左右の眼の大きさが異なる。
  • 物に対する反応が鈍い。
  • なかなか物を見つけられない。

このような症状は弱視の可能性が考えられます。
気になる症状を見つけたらすぐに眼科にかかることをお勧めします。

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